ニュル24時間で見えたトーヨータイヤPROXESの進化。3台体制・SP9初挑戦の全記録
世界一過酷なサーキット、ニュルブルクリンク。1周約25km、170以上のコーナー、約300mの高低差。天候も路面温度も刻々と変わり、24時間レースでは夜間走行や多車混走、予期せぬアクシデントまでもが襲いかかる。そんな究極の環境で、トーヨータイヤは自社のフラッグシップブランド「PROXES」を鍛え上げている。
2026年のニュルブルクリンク24時間耐久レースに、TOYO TIRES with Ring Racingは3台体制で参戦。最高峰SP9クラスに#32『メルセデスAMG GT3』、SP10クラスに#170『TOYOTA GR Supra GT4 EVO2』、VT2-RWDクラスに#520『TOYOTA GR Supra』を投入した。それぞれ異なるカテゴリーと役割を持つ3台が、過酷な24時間を走り抜き、次なる進化へのデータと経験を持ち帰っている。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 中でも注目は、初挑戦となったSP9クラスの#32だ。ドライバーは中山雄一選手、アンドレアス・ギュルデン選手、ティム・サンドラー選手の3名。中山選手は2026年からPROXESブランドアンバサダーを務め、タイヤ開発に深く関わる存在だ。レースウイーク前のNLSでは最速ラップを記録するなど、スピードは証明済み。しかし決勝では想定以上に低い気温がチームを悩ませた。路面温度が上がらず、タイヤを適切な作動領域へ持ち込むのが難しい状況だった。
昼間から夕方、そして夜間へ。暗闇のノルドシュライフェでは、ヘッドライトだけが頼り。速度差の大きな車両をかわしながら、路面のうねりや濡れた箇所、前方のアクシデント兆候を瞬時に判断しなければならない。長い夜が明けた早朝、#32を不運が襲う。前方車両から漏れたオイルが路面に広がり、それに乗った#32はコントロールを失ってガードレールにヒット。ドライバーの操作だけでは避けられないアクシデントだった。
幸いマシンの損傷は致命的ではなく、ピットで修復を経てレース復帰。中山選手は「クルマも自分も戻ってくることができた。不幸中の幸いでした」と振り返る。その後、終盤には雨もコースを濡らし、タイヤ選択とペース判断はさらに難しさを増した。それでも#32は安定したペースを刻み続け、結果は総合17位、SP9クラス16位。日本人ドライバーが乗るマシンとしては総合最上位となった。
一方、SP10クラスの#170は、ジュリアーノ・アレジ選手、小高一斗選手、小山美姫選手、奥本隼士選手の4名で挑んだ。小高選手と小山選手は2026年のSUPER GT GT300クラスでも同じマシンをドライブするチームメイト。4月の予選レースではSP10クラス優勝を達成し、クラス優勝候補の一角だった。
決勝序盤から#170は速さを見せたが、混走中のレーシングアクシデントに巻き込まれ大きく後退。それでも4人は戦いを終わらせなかった。小山選手の粘り強い走りでレースを落ち着かせ、夜を越えてジュリアーノ選手と小高選手が再びペースを引き上げる。最終的に総合42位、SP10クラス5位。小山選手は悔しさをにじませながらも、「さまざまな状況を走れたことで経験値が増えた」と前を向く。
VT2-RWDクラスの#520は、宮園拓真選手、川畑真人選手、松山北斗選手、堀野仁選手という異色の布陣。宮園選手はeモータースポーツ世界王者でありながら、トーヨータイヤの商品企画部に所属する社員でもある。バーチャルで培った精密さと実車での感覚を融合させ、終盤には#520のファステストラップを記録。クラス4位で完走し、初挑戦で確かな成長を示した。
そして約1カ月後のNLS第6戦。ニュル24時間で得たデータを元にセットアップやタイヤマネジメントを煮詰めた結果、#32がSP9参戦における過去最高位となる総合8位、#170がSP10クラス2位、#520がVT2-RWDクラス2位と、3台がそろって躍進を遂げた。24時間で課題を見つけ、改善し、再びコースに戻る。このサイクルこそ、トーヨータイヤがニュルで挑戦を続ける理由だ。
ニュル24時間は終わったが、PROXESの挑戦は続く。8月1日、日本時間19時からNLS第7戦がスタート。2026年シーズンは後半戦へ突入する。
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