BMW i8復権 1.5Lターボで370馬力 バタフライドアが魅せる異端のプラグインハイブリッドスポーツ
2010年代初頭、スーパースポーツカーといえば大排気量エンジンの轟音が当たり前だった時代。そんな常識を真っ向から覆したのが、BMWが2014年から2020年まで製造・販売したプラグインハイブリッドスポーツ「i8」だ。環境性能とドライビングプレジャーの融合を掲げたこのクルマは、今見ても時代を先取りした革新的な一台だった。
まず目を引くのは、コンセプトカーがそのまま市販されたかのようなスタイリング。全長4690mm×全幅1940mm×全高1300mm、ホイールベース2800mmというワイド&ローのプロポーションに、風の流れを計算し尽くした空力ラインが刻まれている。そして最大の特徴が、斜め前方に翼のように跳ね上がるバタフライドア。ドアを開ける動作だけで、特別な高揚感を味わえる演出は秀逸だ。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro ボディ骨格には、軽量で高剛性な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をキャビン部分に採用。アルミ製フレームと組み合わせることで、駆動用バッテリーやモーターを積みながら車重を約1500kgに抑えた。この軽さが走りの素性を大きく左右している。
パワートレインはまったく異例の構成だ。シート後方に搭載される1.5リッター直列3気筒ターボガソリンエンジンは最高出力231馬力・最大トルク320Nmを発生し後輪を駆動。フロントには高出力電気モーターを配置し前輪を駆動する独立型4WDシステムを採用した。
日常の街乗りではエンジンをかけずに静かにEV走行。一方アクセルを踏み込めば、エンジンとモーターが協調して力強い加速を生み出す。小排気量とは思えない官能的な排気音を響かせ、地を這うようにコーナーを駆け抜ける感覚は、まさに新時代のスポーツカーそのものだった。
モデルライフ中盤のマイナーチェンジではバッテリー容量を拡大し、モーター出力を143馬力に強化。システム合計出力は374馬力、最大トルク570Nmに到達。さらにクーペに加えてオープンエアを楽しめる「i8ロードスター」も追加され、世界中のセレブやクルマ好きを魅了した。
2020年に惜しまれつつ生産を終えたが、カーボン骨格やプラグインハイブリッド技術など、i8の開発で培われたノウハウは現在のBMW電動化モデルに確実に受け継がれている。ガソリン全盛期から電動化の未来へ架け橋を渡したi8は、今なお色褪せない魅力を放つ名車だ。
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