全長5m超えの電動ランクル「ランドクルーザーSe」はなぜ賛否を呼んだのか?市販化への期待と課題
トヨタが2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開した「ランドクルーザーSe」をご存じだろうか。あの“ランクル”がまさかのBEV(バッテリーEV)に、しかもモノコックボディで登場したとあって、クルマ好きの間で大いに話題をさらった。あれから3年――いまだ市販化の正式アナウンスはないが、その存在感は色あせていない。
「ランドクルーザーSe」は全長5150mmの大型3列シートSUV。近未来的なデザインながら、スクエアなフォルムに“ランクルらしさ”を感じさせるスタイリングが特徴だ。トヨタはこのモデルについて、BEVならではの静粛性と力強い走りに加え、モノコックボディによる優れた操縦安定性と悪路走破性を両立したと説明している。
エアコンなしで部屋を涼しくするならこの一台Airio Pro しかし、多くのファンが注目したのはその成り立ちだった。ランドクルーザーシリーズは、高い悪路走破性や耐久性、信頼性を支えるラダーフレーム構造が代名詞。ところがSeは、その伝統をあえて捨て、モノコックボディを採用したのだ。
発表当時、SNSや掲示板では「新しい時代のランクルとして面白い」という声がある一方、「モノコックではランクルらしくない」「これもランクルと呼べるのか」といった賛否両論が飛び交った。企画担当者は「BEVの静粛性とモノコックの操縦安定性を生かし、都市部から高速道路まで快適に移動できる3列シート・7人乗りSUVという新たな価値を提案したかった」と説明。既存のランクルシリーズを置き換えるのではなく、全く新しい選択肢として提示したかったようだ。
現在のランドクルーザーシリーズは、「300」「250」「70」に加え、新たに「FJ」も加わり、それぞれ異なるキャラクターで展開されている。そこにBEVのSeが加われば、ブランドの裾野を大きく広げる可能性を秘めている。
ただ、市場の受け止め方はまだ不透明だ。ランドクルーザーに求める価値は地域によって異なり、悪路を走る実用車として支持される国もあれば、高級SUVとして選ばれる市場もある。「BEVかつモノコックのランドクルーザー」を求めるユーザーがどれだけいるのか、現時点では判断が難しい。BEVの静粛性や力強い加速、大型SUVとしての快適性に魅力を感じる人は少なくないだろうが、その価値が“ランドクルーザー”というブランドと結びつくかどうかは、まだ答えが出ていない。
現状、トヨタから市販化の正式発表はなく、その後の動向も明らかになっていない。ただし、ショーカー然とした雰囲気ではなく、かなり現実味を帯びたスタイリングであることから、商品化を前提とした企画であることは間違いないだろう。
果たして、ラダーフレームを受け継ぎ本格的な悪路走破性を追求するモデルこそがランクルなのか、それともBEVやモノコックという新たな形もランクルブランドの一員として受け入れられるのか。その答えを市場がどう示すのか、今後の展開から目が離せない。
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