マツダCX-80 900km試乗で判明 6発ディーゼルの魔力と価格の衝撃
マツダのラージ商品群の中核を担うCX-80。全長5m級の3列シートSUVとして2024年に登場し、CX-8の後継として日本や欧州、アジア大洋州で販売されている。今回、マイナーチェンジ前後の2台、合計892.1kmにわたる試乗の機会を得たので、その実力を余すところなく伝えたい。
パワートレインは3.3リッター直列6気筒ターボディーゼル(非ハイブリッドとマイルドハイブリッド)、および2.5リッター直列4気筒プラグインハイブリッドの3本立て。日本向けには大排気量ガソリンターボは設定されない。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon まず、このクルマの最大の魅力は何と言っても3.3リッター直列6気筒ターボディーゼルだ。1気筒あたり547ccという、かつての軽自動車用エンジン1基分に相当する排気量が生む爆圧感と、120度ごとの密な爆発間隔が織りなす脈動の目詰まり感は、エンジン好きなら何度でも味わいたくなるほどスウィート。スロットルを少し開ければ、シリンダー内のエネルギーがダイレクトに伝わってくる。非ハイブリッド版は電気モーターのアシストがない分、エンジンの純粋なフィールが楽しめ、アイドリングストップからの再始動時の身震いも含めて、まさに6発ディーゼルならではの体験だ。
マイルドハイブリッド版は最高出力が上回るが、パワーフィールの純度では非ハイブリッドに軍配が上がる。0-100km/h加速は7.6秒(GPSロガー計測)と、競合の3リッターハイスペックディーゼルに比べ高回転域でパワー差を感じるものの、低中回転域では過給の立ち上がりの良さが生き、スペック以上に力強く感じられる。
燃費も大排気量6発SUVとしては優秀で、非ハイブリッドが16.4km/L、マイルドハイブリッドが18.6km/L(満タン法)。市街地でも14~17km/L台、高速巡航では23km/L台を記録。エンジンフィールを楽しむためにあえてアクセルを開け気味にしてもこの数値だから、エコランを心がければさらに伸びるだろう。
内外装の仕上げは価格帯を考えれば申し分なく、3120mmの超ロングホイールベースを感じさせない身軽な操縦フィールも魅力。しかし、乗り心地はハーシュネスカットが甘く、EセグメントSUVに期待されるフラット感にはやや不足。3列目シートの居住性は旧型CX-8より劣り、6人乗りで5名以上乗車すると荷室が狭くなる。最小回転半径5.8mの数値以上に取り回しが重く感じられる点も短所だ。
それでも、最安478万円でこのクラスの大型SUV、しかも直6ディーゼルを手に入れられるのは、昨今の価格高騰を考えれば「お値段以上」と言える。競合のアウディQ7やメルセデス・ベンツGLE、BMW X5の6発ディーゼル車が半額以下で買える計算だ。
ただし、販売はマツダの期待に届いていない。理由は、プレミアムブランドが席巻するEセグメントでマツダを選ばせる難しさにある。動的質感で一歩踏み込めれば、DセグメントSUVからの乗り換えを促せる可能性はある。マツダの高級化戦略はまだ道半ばだが、CX-80はその種として決して悪くない。大型SUVのテイストを純粋に味わいたいなら、現状でも十分に選択肢に入る一台だ。
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