ポルシェ マカン エレクトリック GTS試乗:BEVでもGTSの味は健在か? 571PSの電動SUV
ポルシェの電動ハイパフォーマンスSUV「マカン エレクトリック」に、新たな頂点とも言える「GTS」が登場した。エンジンを積まないBEVでも、ポルシェの伝統的なスポーツ仕様の味は出せるのか。雨の首都圏から御殿場方面への試乗で、その答えを確かめた。
GTSは、ポルシェのモデルバリエーションにおける定番のスポーツ仕様。1963年の「904カレラGTS」に由来する「グランドツーリングスポーツ」の名を冠し、4Sとターボの間に位置する。今回のマカン エレクトリックGTSは、2025年10月に日本導入。エクステリアはフロントスポイラー、サイドミラー、サイドブレード、ホイールアーチトリム、リアスポイラーリップなどをブラック仕上げとし、サイドスカートはリアに向かって幅広になる専用デザイン。インテリアには「GTスポーツステアリングホイール」や、人工スエードの「Race-Tex」をセンターコンソール、ドアパネルのアームレスト、ダッシュボードに採用する。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 試乗車はカーマインレッドのボディに、赤いステッチとシートベルトを備えた「GTSインテリアパッケージ」を装着。カーボンファイバートリムも施され、スポーティな雰囲気を醸し出す。シートに腰掛けブレーキを踏むと、スタートボタンを押さずともシステムが起動する。ステアリングはずっしりと重く、GTSであることを予感させる。ノーマルモードで走り出すと、車内は驚くほど静か。専用チューニングのエアサスペンションはベースより車高が10mm低いが、乗り心地はしなやかで、首都高速のジョイントもリズムよくいなす。
東名高速でスポーツモードに切り替え、強めにアクセルを踏むと、GTS専用チューニングの「ポルシェエレクトリックスポーツサウンド」が響き、最高出力571PS、0-100km/h加速3.8秒の実力が垣間見える。車両重量2450kgながら、その加速は911カレラをもしのぐ鋭さだ。
プラットフォームは「プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)」で、総容量100kWh(実用量95kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載。前後に永久磁石同期モーターを配置した4WDで、リアにはマカンシリーズ最強のモーターを積む。ローンチコントロール使用時は、最大トルク955N・mを解放する。電子制御の「ポルシェトラクションマネジメント(ePTM)」は、従来の全輪駆動システムより約5倍速く反応し、10ミリ秒以内にスリップを検知。「ポルシェトルクベクトリングプラス(PTVプラス)」やオプションのリアアクスルステアも加わり、雨天でも安心してコーナーを攻められる。前後重量配分は48:52と理想的なバランスだ。
ただし、ターボ譲りの大型リアモーターはラゲッジスペースに干渉し、容量はマカン4の540リッターから476リッターに減少。走りと実用性のトレードオフは、GTSを選ぶなら納得の範囲だろう。回生ブレーキの調整やワンペダルドライブ機能はなく、ブレーキペダルを踏む操作が主体。そのフィールは盤石で、空走感は皆無だ。
カタログの一充電走行距離は606km(WLTCモード)。最大270kWの急速充電に対応し、約21分で10%から80%まで充電できる。試乗では292.2kmを走行し、平均電費は4.3km/kWh。雨天でエアコンやライトをフル稼働させたことを考えれば、悪くない数字だ。
内燃機関のないBEVにGTSの味は出せるのか。試乗前の懸念は杞憂に終わった。ターボが冷静でストレートな速さを追求するのに対し、GTSは情熱的で俊敏、そしてシャープ。ポルシェというシェフの腕前に感心させられる一台だ。価格は1396万円、テスト車は1763万円(2026年3月時点)。
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