10年ぶりのフルモデルチェンジ!日産 新型キックス 試乗インプレッション
先代のP15型が2016年に登場してから実に10年。2026年、ついに新型となるP16型キックスがデビューした。この間、日産は業績低迷、ホンダとの提携話、本社売却、追浜工場の閉鎖決定など、大きな変革の渦中にある。そんな追浜工場で最後に生産されるモデルのひとつが、この新型キックスだ。閉鎖後は生産が九州に移管されるという、ある意味で記念碑的な一台でもある。
まず目を引くのは、そのサイズ感だ。全長4365mm、全幅1800mm、全高1615mmと先代比で全長+75mm、全幅+40mm、全高+10mm、ホイールベースも35mm延長され、ひと回り大きく、まさに一クラス上の存在感を放つ。実際、全幅は初代エクストレイルよりも大きいから、その成長ぶりには驚かされる。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro エクステリアは、近年の日産らしいVモーショングリルを廃し、セレナや新型ムラーノと共通する、グリルの枠を意識させない新しいデザインフェイスを採用。インテリアも大きく進化し、メーターパネルは完全なデジタルディスプレイに。ダッシュボード上面にはファブリックを用いた暖かみのある仕上げが施され、質感の高さが際立つ。
走りのハイライトは、第3世代となる「e-POWER」だ。エンジンは従来の1.2Lから1.4Lに拡大され、出力・トルクともに向上。とはいえ、エンジンはあくまで発電専用だが、排気量が大きくなったことでエンジンが回る機会が減り、静粛性が大幅に向上した。モーター自体の性能も上がっており、蹴り出しから高速域まで力強く、軽快な走りを実現。燃費は満タン法で19.1km/Lと、先代の14.0km/Lから大きく改善している。
プラットフォームは、先代のVプラットフォームから新たなCMF-B HS(ハイスペック)に変更。このプラットフォームは、日本未発売の2代目ジュークにも採用されていたもので、キックスは実質的にジュークの兄弟車となった。タイヤは225/45R19の大径サイズ。先代が17インチだったことを思えば、これも車格の違いを如実に示す。
実際の乗り味は、運動性能の高さが光る。ターンインでのライントレース性能や切れ込みの鋭さは、車体剛性の高さを感じさせる。しかしその反面、乗り心地はやや荒々しさが目立ち、スムーズでフラットとは言い難い。運動性能と乗り心地のトレードオフは理解できるものの、もうひと押しフラット感が得られれば、パーフェクトと言えるだろう。
新型キックスの最大の美点は、どんな状況でも保たれる静粛性の高さだ。エンジンがかかる機会が減っただけでなく、かかったとしてもその存在をほとんど気付かせない。まるでEVのように滑らかに走るその様は、まさに見事の一言。価格は試乗したFWDの最上級グレードGで、本体価格389万8400円。試乗車はオプション込みで446万0940円、乗り出しはほぼ500万円だ。先代の特別限定車が325万7100円だったことを思えば約2割アップだが、その内容を考えれば納得の価格設定と言えるだろう。
惜しむらくは乗り心地。ここが改善されれば、間違いなく最良の一台になる。
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