マーレが整備工場の未来を変える デジタルポータル無償公開へ
ドイツの大手自動車部品メーカー、マーレ(MAHLE)が、整備工場の未来を大きく変えるかもしれない新システムを発表する。世界最大のアフターマーケット展示会「アウトメカニカ フランクフルト 2026」において、クラウドベースの統合プラットフォーム「MAHLE Workshop Portal」を世界初公開するとのことだ。
このポータルは、独立系の整備工場が従来のスタイルからデジタルサービスセンターへと進化するのを支援するために設計された。車両部品や整備機器、技術的専門知識、診断機能を一つのエコシステムに統合。技術情報、トレーニング、修理ソリューション、個別サポートを一元管理できるクラウドプラットフォームで、なんと整備技術者やサービスアドバイザー、経営者向けに無償で提供されるというから驚きだ。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro AIを活用した機能と「ダイレクト・チケットシステム」を備えた統合型テクニカルサポートを搭載し、診断や修理に関する課題に迅速に対応。スマートフォンやタブレット、デスクトップPCなど、あらゆるデバイスで使えるレスポンシブデザインを採用している。最初のパイロットプロジェクトは欧州と南米でスタートし、その後ドイツ国内の独立系整備工場向けに公開、世界各地域へ順次展開される予定だ。
注目は、新たに導入される「MAHLE Battery Workshop Support」。高電圧バッテリーの修理判断を迅速かつ体系的に行えるシステムで、バッテリーが車両に搭載された状態でも、取り外された状態でも、CANインターフェースを介して数分以内に直接通信。不具合の特定とバッテリー状態の評価を行い、修理・交換の要否や専門修理センターへの送付の必要性について、最適な対応策を提示してくれる。
さらに、整備工場が顧客のもとへ出向く「MAHLE Mobile Service」も発表。完全装備のサービス車両で技術者が直接訪問し、オイル交換やブレーキサービス、点検、診断・ソフトウェア更新、空調サービス、高電圧バッテリー診断など、幅広い作業に対応する。このパイロットフェーズはすでに欧州でスタートしている。
マーレはローデ・シュワルツ(Rohde & Schwarz)との協業で、レーダーセンサー検査の標準化も実現。マーレの「TechPRO Digital ADAS 2.0」校正システムとローデ・シュワルツの「RadEsT」高精度レーダーテスターを組み合わせ、実際の走行状況を再現した条件下でレーダーコンポーネントの機能を検証できる。結果は測定・文書化・再現が可能で、高い修理品質を保証する。
電動化対応も加速。EV向け補修部品のポートフォリオを現在の1000点から2030年までに2000点以上へ拡大する計画で、2025年以降はオンボードチャージャーやインプットフィルターなどの主要なパワーエレクトロニクス部品もラインナップに加わる。
環境にも配慮した新製品「CareMetix Natural」キャビンエアフィルターも登場。羊毛とろ過技術を組み合わせ、フィルター性能を維持しながらカーボンフットプリントを低減。揮発性有機化合物(VOC)の低減やマイクロプラスチック発生につながる素材の使用最小化にも配慮している。
マーレのライフサイクル&モビリティ事業部は世界28地域で事業を展開し、2025年度の売上高は12億ユーロ。マーレグループ全体では約6万4000名の従業員を擁し、2025年の売上高は約113億ユーロに上る。この巨大部品メーカーが放つ新システム、日本の整備工場にもいずれ波及する日が来るかもしれない。
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