テントウムシからR1まで!軽自動車デザイン史を振り返る
日本市場を支える軽自動車。近年はスーパーハイトワゴンが主流となり、どれも似たようなスタイリングが増えたと感じる人も多いのではないだろうか。確かに実用性は申し分ないが、かつてはもっとデザインに遊び心があり、個性を放つ軽自動車が数多く存在した。本稿では、そんな「美しい軽自動車」の系譜を振り返ってみたい。
まず外せないのが、1958年登場のスバル360だ。通称「テントウムシ」の愛称で親しまれたこのクルマは、伝説のエンジニア・百瀬晋六氏の指揮のもと、佐々木達三氏がデザインを手掛けた。卵の殻を思わせる丸みを帯びたボディには、当時としては先進的な航空技術が応用されていた。質実剛健さだけを追求していれば、ここまでの国民車にはならなかっただろう。
寝苦しい夜が、これひとつで快適にAirio Pro 続いて注目したいのが、1970年デビューの初代ホンダZ。それまでの軽自動車が実用一点張りだったのに対し、ホンダはここに「スペシャルティ軽」という新たなジャンルを切り開いた。遊び心を前面に押し出したそのスタイルは、若者を中心に熱狂的な支持を集めた。
1985年に登場した初代ホンダ・トゥデイも、軽デザイン史に残る名作だ。当時のライバル車と比較して約10cmも低い車高を実現しながら、ロングホイールベースとワイドトレッドにより広い室内空間を確保。美しいロングルーフのワンモーションフォルムは秀逸で、なんとイタリアの名門デザイン会社・ピニンファリーナが手掛けたというデマが流れたほどだ。
1980年代から1990年代にかけては、個性派がさらに百花繚乱。ダイハツ・リーザやリーザスパイダー、スバル・ヴィヴィオのT-TOPなど、今見ても魅力的なモデルが並ぶ。また、三菱・パジェロミニのように、本家SUVのデザインを軽枠に落とし込み、貧乏くささを感じさせない仕上がりも見事だった。
そして2005年登場のスバルR1。デザインを手掛けたA.ザパティナス氏は、リアの居住性をある程度犠牲にしてでも、美しいラインと面構成を優先した。その完成度の高さは、もし「日本車のデザイン殿堂」があるならば、間違いなく上位にランクインするだろう。
しかしながら、現在の軽自動車市場において、こうしたデザイン重視のモデルは、ムーヴキャンバスや現行ジムニーなどの一部を除き、販売面で苦戦を強いられている。ユーザーが求める「実用性」という壁は厚い。それでも、軽自動車の歴史には、デザインで勝負した名車たちが確かに存在した。メーカーには、これからも市場に彩りを添えるような、個性的な軽自動車を生み出し続けてほしいものだ。
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