新型アウディA6、ステアリングに宿るアナログ感。9代目は一味違う
アウディの歴史において、100の系譜を継ぐ精神的支柱とも言えるA6。その9代目となる新型が日本に上陸した。ただし、昨年(2025年)に登場したA6 e-tronはBEV専用モデルであり、今回導入されたのは内燃機を搭載する従来のA6の延長線上にあるモデルだ。パワートレインもプラットフォームも異なる両車が同じ「A6」を名乗るのは、アウディの命名法則が二転三転した結果である。BEVは偶数、内燃機は奇数とする方針がわずか1年で撤回され、旧来通り車格に応じた数字に戻った。この新方針が適用された最初のクルマが、この新型A6なのだ。
新型A6のボディサイズは全長5000mm、全幅1875mm、全高1465mm(セダン)、ホイールベースは2925mm。先に登場したA5(旧A4相当)との差はやや縮まったが、独立したトランクルームを持つセダンとステーションワゴン「アバント」が用意される点はA6ならでは。特にアバントのリアフェンダーの張り出しと、寝かせたリアウィンドウのフォルムは美しく、初代100シリーズのアバントを彷彿とさせる。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー パワートレインは2リッターガソリンターボ(200kW TFSI、最高出力272PS)と2リッターディーゼルターボ(150kW TDI、同204PS)の2種類。ともに7段Sトロニックとクワトロ(四駆)を組み合わせ、エンジンとトランスミッションの間には48Vモーターを備えるMHEVプラスを搭載。このマイルドハイブリッドシステムは1.7kWhのバッテリーを備え、発進や低速域ではモーターのみで走行することも多い。中間加速の肉厚さは、トルクリッチなTDIでもモーターの加勢が明確に伝わってくる。0-100km/h加速は6.9秒と十分以上の性能だ。
今回の試乗車はセダンのTDI。リアステアやエアサスペンションなどのオプションが装着されていたが、その乗り味はさすがアウディと唸らされるものだった。特に印象的だったのはステアリングフィール。近年のアウディは操作系が軽く、クルマ任せなリモート感が強かったが、新型A6は軽さの中にもフィードバックが手のひらにリアルに伝わってくる。アクセルやブレーキの操作による姿勢変化や荷重移動の情報も解像度が高く、指先の力加減でゲインを管理できる。足まわりがしっかり呼応し、明らかにこれまでのアウディとは異なる操安づくりの新しいさじ加減が感じられた。
インテリアは新しい電子プラットフォーム「E3」を採用。助手席側のモニターも標準化され、A5との差別化が図られている。後席の居住性はA5との違いが明らかだが、荷室容量はセダンで452リッター、アバントで466リッターと先代には及ばない。MHEVプラスのバッテリー搭載によるやむを得ない事情もある。
価格は898万円から。テスト車は1191万円(各種オプション込み)。燃費はWLTCモードで17.6km/リッター。空気抵抗係数Cd値はセダンで0.23と、徹底した空力対策も新型の特徴だ。
アウディの開発リソースがBEVと内燃機の間で振り回される中、新しいA6の乗り味には、プレミアムセグメントで再び競合を驚かせる可能性を感じた。アナログ感を宿したステアリングフィールは、今後のアウディの新たな指標となるかもしれない。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 今、あなたにオススメ