猛暑のバス大遅延、地獄のループを現場目線で徹底解説 日野レインボー乗務記
ある酷暑の日、都内の路線バスが深刻な遅延に見舞われた。フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者が、日野レインボーを駆って体験した「遅延が遅延を呼ぶ地獄のループ」の一部始終を、バスマガジンの記事からお届けする。
記者が担当したのは芝浦港南ルートのトップバッター、701ダイヤ。まず車両で出庫し、田町駅と品川駅を2往復。その後田町で次の運転士に引き継いで休憩に入る。休憩後は田町から車両を再び引き継ぎ、品川、田町、竹芝桟橋入口、田町と回り、交代運転士に車両を渡して2度目の休憩。最後の行路は田町で車両を引き継ぎ、田町・品川間を2往復して田町駅で終了。駅からは徒歩回送で営業所に戻るという、複雑な仕業だ。
エアコンなしで部屋を涼しくするならこの一台Airio Pro 出庫前、同僚運転士と交わした大方の予想は「猛暑日なので外出する人は少なく、学生も夏休みで通学需要が減るから、全体としてはさほど混雑しないだろう」というものだった。しかし現実は甘くなかった。
1周目、品川駅に着くまでにすでに10分程度の遅れ。戻りのルートでさらに乗客が増え、乗降に時間がかかる。それだけなら1分以内の遅れで済むが、問題は信号だ。普段は引っかからない信号に止められ、遅れは最大3分ほど拡大。余裕時分のある停留所間をキビキビ走っても、遅れを取り戻すのは不可能になる。
しかも車内は立席がパンパンで積み残し寸前。ラフな走りはできず、転倒事故を防ぐためにソロソロと走らざるを得ない。フロントガラス目前まで乗客が立っていると、普通のブレーキも踏めず、ドアを開けるにも目の前の乗客に声をかけてからでないと操作できない。こうした細かいロスが遅延をさらに拡大させる。2周を終えて田町駅に戻ったときには、26分の遅れで後続の運転士に車両を引き渡した。
一方、竹芝桟橋入口までフルで走る便は、余裕を持ったダイヤのため、17分程度の遅れなら田町駅到着時には定刻に戻る。田町駅から竹芝桟橋入口までは乗客が少なく、海岸通りの3車線道路を走るので、普通に走るだけで遅れが取り戻せるのだ。この日は遅延による乗客の偏りなどが原因で、同じルートでも区間便だけが遅延しまくり、20分ヘッドのダイヤは大混乱。20分以上の遅延があると、走る便の順序が入れ替わることすらあった。
無線で位置関係をやり取りできても、運転している運転士には全体像が分からない。遅延便だけがパンパンに膨れ上がっていく――猛暑日に起きた現場のリアルな光景だ。
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