7年ぶり刷新のアウディA6アバント試乗「4気筒でもいい」と思わせる上級グランドツアラー
アウディ ジャパンは2026年6月25日、ミドルサイズ・エグゼクティブモデル「A6」とステーションワゴン「A6アバント」を発売した。1968年誕生のアウディ100から数えて通算9代目、A6の名称になってからは6代目となる。
世界的なSUVブームが続くなか、ステーションワゴンは一時的に市場の陰に隠れた存在となったが、全高の低さがもたらす走行安定性や低空気抵抗、SUVに引けを取らない荷室の積載性は、日本の都市部のタワーパーキング事情や長距離移動を伴うライフスタイルに対して、今なお最も合理的な解答のひとつだ。欧州市場では現在もステーションワゴンの需要が高く、全体の約8割を占め、その半数以上がアウディの本拠地ドイツで販売されているという。日本でもセダンとアバントの販売比率はアバントがやや上回る展開で、選択肢が狭まりつつあるワゴンファンにとっては大本命の登場と言える。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 空力性能はアウディA6史上最高レベルで、Cd値はセダンが0.23、アバントでも0.25を達成。フロントバンパー脇のエアカーテンや、シングルフレームグリル内部に仕込まれた可変シャッター、アンダーボディを完璧に覆う整流パネルなど、細部に至るまで空気の流れの制御が徹底されている。
デザインは、ステーションワゴンながらシューティングブレイク並みにアバンギャルドで攻めた造形が印象的だ。ホイールベースは先代を踏襲しつつ、オーバーハングを前後ともに伸ばして全長を50mm拡大、全高を10mm下げることで伸びやかなプロポーションを実現。リア斜め後方から見上げた際の立体的で複雑なボディラインは、まさに「エモい」仕上がりである。
インテリアは、メーターパネルからセンターディスプレイまでが美しい弧を描いて一体化された「MMIパノラマディスプレイ(OLED採用)」がインパネ中央に鎮座。助手席前には「パッセンジャーディスプレイ」も用意される。アダプティブクルーズコントロールの操作系は物理レバーが残され、デジタルとアナログの良さを絶妙なバランスで融合させている。
パワートレインは、先代にあった6気筒モデルは見送られ、全車4気筒に集約。ガソリンは2リッター直4ターボ(TFSI)で200kW(272PS)/400Nm、ディーゼルは2リッター直4ターボ(TDI)で150kW(204PS)/400Nmを発揮。両方に強化された48Vマイルドハイブリッドシステム「MHEV plus」を組み合わせ、トランスミッション側に配置された電動パワートレインモジュールにより、最大230Nmのモーターアシストと高効率なエネルギー回生を行なう。
フットワークは、新世代の内燃機関用プラットフォーム「PPC」に、アダプティブエアサスペンションと四輪操舵システム「オールホイールステアリング」を組み合わせ、日本仕様は全車クワトロとなる。
実際にA6アバントのガソリン車に試乗すると、アクセルを踏み込んだ瞬間からMHEV plusのモーターアシストがシームレスに立ち上がり、約2トンに迫る巨体を力強く、かつスムーズに加速させる。常用域からの再加速ではターボとの連携も見事で、ドライバビリティ向上に一役買っている。正直、乗る前はパフォーマンス面でやや心配があったが、実際に乗るとスペック以上に力強く走るため、「これならば4気筒でもいいかな」と思わせる。
高速道路では直進安定性が驚異的だ。空力ボディとクワトロシステム、高速走行時に自動で車高を20mm下げるエアサスペンションの統合制御により、路面に吸い付くように真っすぐ走り抜ける。横風や路面のうねりでも車体はフラットな姿勢を崩さず、ステアリングからは緻密なフィードバックが伝わる。この走りの質感は、メルセデス・ベンツのような重厚さやBMWのような俊敏さとは異なり、乗り込むほどに安心感が増し、長距離を走れば走るほど心が落ち着いていく上質な快適性に満ちている。高速道路時の燃費は約17km/Lと、巨体の4WDワゴンとしては極めて優秀だ。
街乗りでは、リアステアの効果により交差点や狭い路地での取り回しが驚くほど軽快で、ワンサイズ小さなA4やA5に乗っているかのような「手の内感」を味わえる。
価格(消費税込)はガソリンが927万円、ディーゼルが940万円。内容を考えればコスパはいい。アウディは現在電動化戦略を軌道修正しているが、A6の仕上がりから「内燃車も本気」であることを強く感じさせる、上級グランドツアラーの誕生だ。
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