線路跡をバスが爆走!一般車通行禁止の「白棚線」、その異様な魅力
廃線跡をバスが疾走する――。そんな異色の路線が、福島県に現存する。JRバス関東が運行する「白棚線」だ。かつて鉄道が走っていた線路の跡をそのまま舗装し、一般車両の進入を禁じたバス専用道を、路線バスが文字通り“爆走”する。バスファンのみならず、クルマ好きも思わず見入ってしまう、この珍路線の魅力に迫る。
白棚線の歴史は、1916年に開業した白棚鉄道に遡る。東北本線の白河駅と水郡線の磐城棚倉駅間、約23.3kmを結んだこの鉄道は、戦時中の1944年に「不要不急線」に指定され、レールを撤去。運行を休止した。その後、鉄道としての復活計画も断念され、代わりにバス路線が1957年に開業する。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon ここが他の転換事例と決定的に異なる点だ。白棚線は、単にバスに置き換わるのではなく、線路跡をそのままバス専用道として活用した。当時、日本の舗装率はわずか7%。未舗装の国道が大半を占める中、美しく舗装されたこの専用道は「国鉄自動車専用道」と名付けられ、鉄道時代よりも全区間で約15分も短縮されたという。まさに“高速”の名にふさわしい、先進的な路線だったのだ。
この専用道は、後の日本の高速バス開発にも貢献した。1950年代末頃から白棚高速線で高速バスの試作車試験が行われ、その成果は1969年開業の東名ハイウェイバスへとつながっていく。現代の高速道路が1963年に名神高速で初開通したことを思えば、いかに先進的な試みだったかが分かるだろう。
しかし、時とともに状況は変わる。並走する国道289号の改良や災害による路盤崩落、専用道の老朽化などを理由に、少しずつ一般道へと経路変更が進んだ。2024年7月には表郷庁舎前~三森間の専用道が廃止され、2026年6月現在、専用道として残るのは関辺~磐城金山間のみとなっている。
この区間はまさに“鉄道の面影”を色濃く残す。道路幅は約3.6mと狭く、大型バスがすれ違うことはできない。停留所で行き違いを行う光景は、まさに単線の鉄道そのものだ。専用道入口には「車両通行止め(路線バス除く)」の標識が立ち、JRバス関東の私有地であることを示す「国鉄高速度専用自動車道」の古びた看板も残る。
最高時速は60km/h。道幅の狭さからは想像もつかない豪快な走りで、バスは専用道を駆け抜ける。一般道との交差点ではバス専用道側が優先。クルマで現地を訪れる際は、突然現れるバスに要注意だ。
JRバス関東は残った専用道区間について「廃止の予定はない」としているが、この個性的な路線の未来は決して盤石ではない。かつて鉄道路線だったバス専用道を疾走する、この唯一無二の体験を、ぜひ実際に訪れて確かめてみてほしい。
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