エンジンはまだ終わらない!早稲田・草鹿教授が語る日本メーカーへの喝と現実
「エンジンはオワコン」――そんな風潮に待ったをかける、早稲田大学理工学術院の草鹿仁教授。前編に引き続き、ベストカー編集部が伺った後編では、商用車の未来や水素エンジンの現実、そして日本メーカーへの痛烈なメッセージが飛び出した。
まずは商用車の行方から。草鹿教授は「トラックやバスは、ディーゼルとバイオ燃料をはじめとしたカーボンニュートラル燃焼しかない」と断言する。ただし、2t積載クラスまでで、東京都内の配送トラックや市バスのように決まったルートを走る車両は、電気や燃料電池が向いているという。
エアコンなしで部屋を涼しくするならこの一台Airio Pro 気になる水素については、さらに厳しい見立てだ。「水素は値段が高い上に、大型車両で使うとエネルギー変換効率が思ったほど良くない。燃料電池は負荷が高くなると効率が落ちる。トラックは高速道路を長距離移動するから、一番効率の良い部分負荷域が使えない。結局、大型トラックではディーゼルに対して1.2~1.3倍程度のエネルギー変換効率しか稼げず、そこに水素の値段をかけると採算が取れない。積載量6tを超えるような大型は、もうディーゼルエンジンしかない」
水素の普及には「50年ぐらいかかる」とも。まさに気の遠くなる話だが、技術的な壁は厚い。
一方、BEVトラックについてはどうか。エネルギー変換効率は2倍近いが、電気は軽油の2倍程度の単価になるため、経済的にはイーブン。ユーザーにとっては航続距離の短さや充電インフラの不足といったデメリットが目立ち、「経済性以外のメリット――例えば『いざというときに給電できる』『静か』『イメージがいい』といった点が大きくない限り、BEVを選ぶ理由がない」と教授は指摘する。事業者はBEV台数が増えるほど充電のための電気基本料金が上がるため、経済的にはむしろ厳しくなるという。
では、日本のBEV普及率は今後どうなるのか。草鹿教授の予想は衝撃的だ。「日本国内は、いまとほぼ変わらないでしょう。今は乗用車の新車販売で1.6%くらい。10年後もこれくらい。2050年でもグローバルで20%ぐらいではないか」。ただし、地域差は大きく、中国は2035年に新車販売の80~85%がBEVになる可能性がある一方、欧州は4~5割からピークアウト。アメリカも日本と同様、ストロングハイブリッドにシフトしていくという。
「BEVにはユーザーメリットが少ないので、そういう状況では普及しません」――この言葉には、クルマ好きとして深くうなずかされる。
後編の核心は、まさに「目覚めよ、エンジン技術者」。内燃機関の可能性を信じ、研究開発を怠ってはならないという強いメッセージが、日本メーカーに突きつけられた。クルマの未来を考える上で、必読の内容だ。
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