皮1枚の衝撃!NSR250RやRGV-Γ250SPのタンデムシートは本当に乗れたのか
バイクのタンデムシートと一口に言っても、その形状は車種によって千差万別。大型ツアラーやクルーザーではパートナーが快適に過ごせるよう、分厚いクッションを備えた豪華なシートが当たり前だ。ネイキッドやクラシック系も、それなりに厚みのあるタンデムシートを装備しているモデルが多い。
ところが、スーパースポーツ系、特に1980年代後半~1990年代前半に大ブームを巻き起こした「レーサーレプリカ」には、思わず二度見してしまうようなタンデムシートが存在した。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon レーサーレプリカの魅力は、何と言っても「いかにレーシングマシンに近いか」という点。究極を追求すればシングルシートが理想だが、それでは1人しか乗れず、タンデムの可能性がゼロになる。そのため、多くの車両は「非常用」とも言えるタンデムシートを装備し、そのサイズは年々コンパクトになっていった。
中でも最も過激だったのが、ホンダ「NSR250R」(1990年~)とスズキ「RGV-Γ250SP」(1996年~)だ。写真で見ると一目瞭然、もはやシートというより「皮1枚」と呼ぶにふさわしい極薄っぷら。しかも2ストロークエンジンのサイレンサーが高く跳ね上がっているため、タンデムステップも極端に高い位置にある。NSR250Rのタンデムステップは折り畳み式でテールカウルに隠れており、引き出すとサイレンサーのステー辺りに現れる。シート座面とステップの位置関係を見ると、本当にタンデムできたのか疑わしいレベルだ。
ただし、保安基準上は問題ない。二輪自動車の後部座席には「座れる場所」「タンデムステップ」「ベルトまたはグリップ」が必要と定められている。確かに皮一枚のシートだが、前部にベルトが備わり、タンデムステップも装備しているのでOKだ。ちなみにスズキは1991年に単気筒スポーツ「Goose(グース)350」で、RGV-Γ250SPよりも先に「皮1枚シート」を採用しており、当時の尖った時代性を感じさせる。
一方、4ストロークのレプリカは一味違う。ホンダ「CBR250RR」(1990年~)も薄手のタンデムシートを装備していたが、利便性も追求。タンデムシート下には容量5.5Lのユーティリティボックスを備え、キー操作でワンタッチ開閉できるヒンジ式だった。同時期のヤマハ「FZR250R」(1989年)も同様にヒンジ式で、シート下に小物入れがあったが、CBR250RRとは逆に後ろヒンジだった。現行モデルでは着脱式が主流だが、ヒンジ式の便利さを復活させてほしいと願うライダーも多いはず。
さらに面白いのが、ドゥカティ「916 Biposto」(1996年)の存在だ。1994年に登場した「916」は当初シングルシートのみだったが、1996年に「Biposto(イタリア語で2座席)」をラインナップ。スタイルに似つかわしくないタンデムシートとステップを備え、生粋のドゥカティファンを驚かせた。その理由は、パートナーや配偶者に「タンデムできるよ、一緒にバイクを楽しもう」と言い訳し、購入のハードルを下げるためだったという。
現在のスーパースポーツ車のタンデムシートは、昔の2ストレプリカほど過激ではないが、やはり小振りで快適性とは程遠い。しかしタンデムステップとの位置関係は改善され、昔よりは「座れそう」な気もする。タンデムする予定はないけれど、可能性だけは残しておきたいライダーにとって、近年のスーパースポーツ車のタンデムシートは、無いよりはマシな装備と言えるかもしれない。
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