日産京都自動車大学校の学生が挑むフォーミュラEV、全種目完走へ
日本の自動車産業を支える次世代の技術者育成の現場で、実践的なものづくりの機会が注目されている。そんな中、学生フォーミュラと呼ばれる競技が、学生たちの総合力を競う場として存在感を増している。
今回は、この競技のEVクラスに参戦する日産京都自動車大学校のチームにスポットを当てる。彼らは11名の4年生を中心に編成され、昨年の課題を克服すべく冷却性能や操縦安定性を向上させた車両を開発。目標は全種目完走だ。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 学生フォーミュラとは、学生が自らチームを組み、フォーミュラスタイルの小型レーシングカーを企画・設計・製作し、その成果を競い合う大会。審査は車両の走行性能だけでなく、設計思想やコスト管理など、ものづくりにおける総合力が問われる。静的審査ではコスト、プレゼンテーション、デザインの3項目が評価され、動的審査ではアクセラレーション、スキッドパッド、オートクロス、エンデュランス、効率の5項目を実走行で判定。合計1000点満点で順位が決まる。
日産京都自動車大学校EVチームは、課外活動として活動。今年度は4年生11名が主体となり、3年生は見学という形で参加する。数十人規模のチームもある中、少人数体制ならではの迅速な意思決定を活かし、設計変更や試作のサイクルを短く回しながら車両の完成度を高めてきた。
投入される車両は、昨年度の仕様をベースに改良を加えた2年目モデル。フレーム班はスタビライザーを新たに導入し、コーナリング時の車体のロールを抑制。これにより動的審査での安定性と応答性を向上させ、ドライバーの疲労軽減や操作ミスの低減にもつなげている。また、メーターパネルを新設し、時速やモーター回転数などの車両状態を即座に視認できるようにした。
8月開催という環境下でEV車両特有の課題となる冷却対策も重要だ。連続走行や路面温度の上昇でバッテリーが過熱すると出力低下や保護制御が介入する恐れがある。そこで横方向のエアフローを見直したカウル形状を採用し、走行時の自然風をバッテリーへ効率的に導くダクトを追加。過度な開口を避け、空力と冷却のバランスを考慮した設計で電子機器の誤作動リスクを抑えている。
サブリーダーでデザイン担当のIさんは、製作は昨年の大会終了後すぐに始まり、11ヶ月ほどかけて準備を進めてきたと説明。昨年の反省を踏まえ、次世代への引き継ぎから初期の図面検討、試走での不具合修正まで工程を見直した。
今年の車両で注目してほしい点について、Iさんは「昨年度の車両は動的審査のオートクロス途中で止まってしまった。その反省から信頼性向上に注力している。すべての動的審査をノートラブルで走り切り、車検や静的審査も含めて全種目を通過できるところを見てほしい」と語る。
大会への意気込みについてIさんは「結成以来、チームとしてまだ全種目を完走したことがない。まずは全種目完走を目指す。そして今回の大会で得られるデータや知見を蓄積し、来年以降の後輩たちが完走に向けて動けるようにバトンをつなぎたい」と、結果だけでなくチームの発展を見据えた姿勢を示した。
限られた人員と時間の中で、瞬間的な速さよりも確実に走り切るための装備と熱対策を優先した設計は、学生たちが自ら問題を発見し現実的な解決策を講じた証。彼らの11ヶ月の努力が、審査や走行の舞台でどのような成果を生むのか、期待が高まる。
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