新型ホンダ・インサイトは中国製BEV、白物家電のように使える実用車だ
ホンダ・インサイトが復活した。ただし、かつてのハイブリッド専用車としてではない。中国で生産されるBEV(電気自動車)として、3000台の限定販売で2026年4月17日に発売されたのだ。その正体は、2024年に中国で発表された「東風ホンダe:NS2」または「広汽ホンダe:NP2」の日本仕様車。日本独自の名前を与えられた新型車の実力を、ロングドライブで確かめた。
まず目を引くのは、クロスオーバー風の4ドアハッチバックスタイル。全長4785mm×全幅1840mm×全高1570mmというサイズは、現行シビックより225mm長く、40mm幅広く、155mm高い。ホイールベースはシビックと同じ2735mmだが、ボディはひと回り大きい。フロントのHマークがなければ、どこのブランドか分からないほど独自性の高いデザインだ。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 室内は広々。BEV専用プラットフォームを採用し、前席下から後席下までリチウムイオン電池を敷き詰めるが、ペダル付近には電池がないため、運転姿勢は乗用車そのもの。着座位置はやや高めだが、最低地上高は140mmとシビックの135mmと5mm差しかなく、フロアの高さは電池の影響だ。
コックピットは、インストゥルメントパネルと一体化した9.4インチの薄型メーターやエアコン吹き出し口が特徴。インパネ下部とフロントドア内側にはヒーターが内蔵される。POWERボタンを押さないとシステムは起動せず、アナログな儀式を好む向きには安心感がある。しかし、起動時の電子音はBEVらしく盛大で、ステアリング越しの細長い画面はやや見づらい。幸い、ヘッドアップディスプレイで速度などは確認できる。
走り出して最初に気になるのは、アクセル操作に伴う「キイーン」という高周波音。加速はワンテンポ遅れ、磁石で地面にくっついているような感覚だ。テスト車がECONモードだったため、NORMALに切り替えると、モーター最高出力204PS、最大トルク310N・mのパワーが目覚める。アクセルを踏み込むと、インバーターの音とともに気持ちよく加速。前輪駆動ながらトルクステアは皆無で、低重心による4輪接地感が安定感をもたらす。
乗り心地は、荒れた路面ではやや硬さを感じる。装着するタイヤは225/50R18のコンチネンタル・ウルトラコンタクトUC6。ランフラット構造のため、パンク時の安心感と引き換えにサイドウォールの剛性感が強い。高速巡航は驚くほど静かで、BOSEのアクティブノイズコントロールが効いている。SPORTモードに切り替えると、人工的なサウンドがアクセル開度に合わせて鳴り、メーターが赤く変化。ワインディングでは、アジャイルハンドリングアシストの働きでよく曲がり、ロールも少ない。
都内の路面では乗り心地は上々。ゼロ発進加速で信号のたびに交通の流れをリードできる。しかし、素直すぎる印象も否めない。BEV特有のスムーズネスと静粛性が、無色透明で無味無臭。シラタキやはるさめを思わせるそのキャラクターに、アロマディフューザーを標準装備する理由が理解できる。
一充電走行距離はWLTCモードで535km、交流電力量消費率は134Wh/km。車重は1770kgと、航続距離を確保する電池を積みながらも軽量だ。価格は550万円。テスト車はアクアトパーズ・メタリックII(4万4000円)の有償色をはじめ、フロアマットやETC2.0車載器などオプションを加え、566万0600円。
メイド・イン・チャイナのBEVが、ホンダの伝統的な名前を継いで日本に上陸した。白物家電のように使える実用車、それが新型インサイトの答えだ。
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