軽自動車で300kmドライブ!スズキ アルトラパンLCの真実と魅力
もしかしたら、人生初かもしれない。高速を使って往復およそ300kmほどのロングドライブを、軽自動車で行った。
今回お借りしたのは、昨年8月から販売されている、マイナーチェンジ版のスズキ アルトラパンLC。そもそもLCは、2022年にラパンの派生モデルとして誕生したものだが、試乗するのはこれが初めてである。そのLCというのは、デビューした時に、かつて一世を風靡したスズキ フロンテLC10型に着想を得て、ノーマルラパンの派生車としてデザインを変えたクルマという位置づけで誕生したもの。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー その2022年当時のモデルを見てみると、果たしてフロンテLC10を想起できるか…。まあ、そう言われりゃ、見えなくもない…レベルのフェイスであったものの、今回そのグリルが変更を受けて、その痕跡は完全に消し飛び、フロンテLC10の面影は影も形もない。もっともそれが嫌なのか?と言われればそうではなくて、初代では申し開け程度に開いていたアッパーグリルが存在感を増し、アンダーグリル(というかメイングリル)にはLAPINの文字が入って、ノーマルラパンよりもラパンとしての存在感を強めているのだから、文句なしだろう。
メカニカル・コンポーネンツはラパンもラパンLCも同じで、よくよく歴史を見ると、現行の3代目が誕生したのは2015年のことだから、なんと11年目のモデルイヤーを迎えた立派な長寿車である。この期に及んでマイナーチェンジ版はエンジンを乗せ換えているのだから、まだまだ当分作るつもりなのだろう。
その新しいエンジンは、R06Dと呼ばれる現行のアルト、スペーシアなど、スズキ軽自動車のNA系車種に使われているエンジン。これまでのR06Aは、主としてターボとのマッチングを考慮して作られていたようで、ターボモデルが存在する車種については今もR06Aがターボ用に採用されているが、NAはR06Dに切り替わっている。つまりラパンにはターボ車はない。
驚くことにR06AからR06Dに切り替わったことで、机上の性能は低下しているのだ。最高出力は3psダウン、最大トルクは5Nmダウンである。今どき新型になって性能が低下するなんて滅多にお目にかかれないのだが、その心は(察するに)、日常での使い勝手と燃費向上を目指した結果なのではないかと思えた。実際に走ってみても、性能差を痛感するような状況は皆無である。さすがにヨーイドン!で、信号グランプリをやるような場合は、なかなかビューンとは出ていかないが、かと言って、どうにも遅いわけではなく、楽に流れるに乗れるから問題はない。
今回は片道100km強の高速区間を走った。具体的には横浜青葉インターから新富士インターまでの間だ。ここで感じたことは、さすがに49ps、58Nmのパフォーマンスだと、大井松田から先の登り区間ではスピードが落ちて、それを補うためにはアクセルを踏み増す必要があり、その場合、エンジンはやはり威勢よくうなりを上げること。そして御殿場から先の120km/h区間は、まあ、そのスピードに乗せてしまえば行けないことはないけれど、やはり平地でも巡行は90~100km/h程度が、心身ともにリラックスして走れるスピードではないかと感じた。
前が詰まって、いったんスピードが落ちると、復帰させるにはかなりストレスがかかる(特に120km/h区間)。ストレスの大きな原因は、もちろん流れに乗せようとして頑張ってしまうこともあるが、そのスピード域になると、思いのほか直進安定性が乱されて、ステアリング操作に気を遣うことにもよる。だから、正直なところ高速向きではない。
帰りは高速に乗らず、山間のワインディング路を試した。国道413号線は適度なワインディングを楽しめる道路として、特にバイカーやオープン2シーター車には人気のコースである。直前をバイクが走り、その前に2台の、比較的楽しんで走っている風(スピードは秘密)のドライバーが運転する普通車がいた。ラパンLCは予想外と言っては失礼だが、こうしたシーンを意外と楽しめる。
道が一部非常に狭いところがあって、最近の幅広グルマだと、ぐっとスピードを落とすことになるのだが、コンパクトなラパンはこんなところが得意中の得意だから、全く無理をすることなくついていける。それにコーナリング姿勢も安定していて、不安もない。サスペンションの突き上げ感も皆無だったので、ハッとするようなシーンには、一度も会うことなくとても楽しいドライブができた。
アンダーパワーで苦手なのは、エアコン。何故かオートをチョイスすると内気循環となって、効きに問題はないのだが、これを外気導入に変えると、何故か信号待ちなどの際に、ほぼエアコンが効いていないような状態になってムーっと暑くなる。このため、街中の渋滞では、外気導入は気温が30度を超えるような場合はお勧めできず、そんな場合は仕方なくアイドリングストップを解除するなど対策が必要だった。また、夕方になって気温が下がってくると今度は効きすぎで、設定温度を上げる必要があったりと、何のためのオートモードなのか???という印象であった。
ハイトワゴン全盛の軽自動車だが、ちょっとした買い物使いだったり、今回のようなロングツーリングは、重心高が低く、低い視線で走れるラパンのようなボディ形状が、俄然強みを発揮する。高速でも横風による外乱も確実に少ないと思われる。
■5つ星評価 パッケージング:★★★★★ インテリア/居住性:★★★★★ パワーソース:★★★★ フットワーク:★★★★ おすすめ度:★★★★★
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