アウディQ3新型に試乗! 550万円からの静粛性とフラット感はクラス最上位
アウディのミドルサイズSUV「Q3」が3代目に移行し、日本市場に登場した。デザインやインターフェイスは一新されたが、プラットフォームやパワートレインなど基本コンポーネンツは先代を踏襲する。欧州勢がBEVにリソースを振る中、エンジン車のフルモデルチェンジとしては珍しくない手法だが、果たしてその仕上がりは――。FWDのエントリーグレード「TFSI 110kWアドバンスト」で確かめた。
全長4530×全幅1860×全高1610mm、ホイールベース2680mmのボディサイズは先代と変わらず。搭載する1.5リッター直4ターボは最高出力150PS(110kW)/5000-6000rpm、最大トルク250N・m/1500-3500rpmを発生し、7段DCTと組み合わせる。駆動方式はFFで、車重は1620kg。WLTCモード燃費は15.6km/リッターで、マイルドハイブリッドによる発進アシストやコースティング、2気筒休止も備える。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 最大のトピックは、全車に標準装備される「2バルブ式電子制御ダンピングコントロール」だ。伸び側と縮み側で独立して減衰力を制御できるこのダンパーは、フォルクスワーゲンの「DCC Pro」に相当する新機軸。コンフォート、バランスト、ダイナミックの3モードが用意されるが、どのモードでも従来より守備範囲が広がった。コンフォートでは低速から高速までフラットな姿勢を保ち、ダイナミックでも低速域のしなやかさが向上。路面のジョイント通過時の突き上げも緩和されている。
実際に走らせると、その静粛性とフラット感にまず驚かされる。FWDながらリアサスペンションはマルチリンク独立式(A3のFWDはトーションビーム)で、乗り心地は滑らかそのもの。ステアリングフィールも一定で、接地感はクワトロモデルより好印象だ。動力性能は必要十分で、日常域のピックアップは約100kg軽い車重とマイルドハイブリッドの効果で、体感的に204PSの2リッターターボと大差ない。
価格は550万円。先代より値上がりしたが、Sラインパッケージ(45万円)を追加しても595万円と、同じ可変ダンパーを備えるフォルクスワーゲン・ティグアンeTSI Rライン(601万4000円)より割安だ。さらにレザーシートパッケージやデジタルマトリクスLEDヘッドライトなどを追加したテスト車の総額は659万円だった。
インターフェイスも一新され、シフトセレクターとウインカー/ワイパー操作部を一体化したコラム固定式のバーを採用。ウインカースイッチは作動中に固定され、停止すると元位置に戻るアナログ感覚を残すなど、初見でも戸惑いにくい設計だ。アダプティブクルーズコントロールのスイッチはコラムツリー式を継承し、慣れるとステアリングスイッチより使いやすい。
新型Q3に用意されるエンジンは1.5リッターターボと2リッターターボのガソリンのみ。ディーゼルの追加予定は現時点ではないという。2026年春にA1とQ2の生産が終了したことを受け、A3とQ3がアウディの国内エントリーモデルを担う戦略的な位置づけも透ける。
新味は限定的だが、その分熟成が進み、乗っていて気になる点が皆無。夏場の試乗ではクワトロの必要性を感じないどころか、FFならではの軽快感がむしろ好印象だ。Sラインパッケージで19インチを履いても、ダンピングコントロールのおかげで低偏平タイヤ特有のゴツゴツ感はほとんどない。ちょいぜいたくなファミリーカーとして、新型Q3のFWDは素直に魅力的。アウディの屋台骨たる所以を感じさせる、間違いなく力作である。
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