もう二度と現れない?バブルから現代まで、時代を刻んだ傑作デザイン車たち
クルマの価値は、速さや燃費だけじゃない。思わず見とれてしまうデザインは、時代を超えて人の心を掴む。バブル崩壊後の不況、そして現代に至るまで、それぞれの時代を象徴する傑作デザイン車たちは、今なお色褪せない輝きを放つ。今回はそんな「眺めるだけで満足できる」名車を、年代ごとにじっくり振り返ってみよう。
最初は1990年代。まさに国産スポーツカー全盛期だ。まず挙げたいのは、スバル アルシオーネ SVX。1991年から1996年まで販売された高級スペシャルティクーペで、何と言ってもデザインはあのジウジアーロ。240psを発生する3.3L水平対向6気筒エンジンを搭載し、その美しいプロポーションは見る者を魅了してやまない。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー そしてマツダ RX-7。1991年に登場した3代目はFD3S型の型式から「FD」の愛称で親しまれ、ワイド&ローの流線型スタイリングは国産スポーツカーデザインの最高峰の一つ。そっと動態保存しておきたい一台だ。さらに、同じくバブル期のマツダが生み出した傑作クーペ、ユーノス コスモ。世界で唯一の3ローターロータリーエンジンを搭載し、低く伸びやかなノーズのエレガントなスタイリングは、もはや世界遺産級と言っても過言ではない。
時代は2000年代へ。長引く不況の中で、コンパクトカーの傑作が次々と登場する。マツダ デミオは2007年に登場した3代目。先代の台形スタイルから一変、スポーティで洗練された躍動感あふれるデザインは、現在の「魂動」デザインの先駆けと言える。1.3Lの5速MTは信じられないほど回頭性が良く、まさに「動」の傑作だ。
一方、日産 キューブの2代目は「静」の傑作。スクエアな形状を受け継ぎつつ角を丸めたソフトなフォルムに、リアの左右非対称なアシンメトリーデザインはコンパクトカーの概念を覆した。和ダンスのような質素なたたずまいに、思わず涙が出そうになる。そして、マセラティ クアトロポルテの5代目は、当時ピニンファリーナに所属していた日本人デザイナー、奥山清行氏が手掛けたラグジュアリーセダン。フェラーリエンジンの官能サウンドとエレガントなデザインを両立した最高傑作だ。
2010年代になると、日本の自動車デザインは欧州に急速に追いつき、追い越し始める。その象徴がマツダ MAZDA3だ。ボディサイドのキャラクターラインを排除し、シンプルながら超複雑な面の陰影で美しさを表現。まさに鑑賞に値する一台だ。欧州の代表はランドローバー レンジローバーイヴォーク。2011年に3ドアで登場し世界的な大ヒットを記録。後方に向かって上昇するサイドラインとクーペ風ルーフは、クルマを超えた質感と走りへの予感を見事に体現している。
そしてホンダ S660。現代版「ビート」と称され、2015年に発売されたミドシップ軽オープンスポーツ。軽自動車の枠内で、ランボルギーニを作ることに成功したと言っても過言ではない、エッジの効いたシャープなフォルムはマニアを熱くさせた。
今回紹介した車種は、どれもその時代の空気を完璧に映し出したデザインの結晶だ。新しいクルマばかりが全てではない。時を経てもなお心を揺さぶる、そんな一台に出会う喜びを、ぜひ味わってほしい。
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