高速域で効く「ステアリングダンパー」、電子制御で低速も軽快に!
スーパースポーツ系のバイクのトップブリッジ付近や、カスタム車のフロントフォークとフレームの間に装着される細長い筒状のパーツ――それが「ステアリングダンパー」だ。愛称は「ステダン」。ライダーの間ではおなじみの存在だが、その役割や仕組みを正しく理解しているだろうか。
ステアリングダンパーは、その名の通り舵取り装置の衝撃を吸収するための装置。路面の段差やデコボコを通過する際、ハンドルが左右に激しく振られる現象を抑制する。一般道の法定速度程度なら「ドキッ」とする程度で済むが、速度が高くなると衝撃は強く速くなり、反復して振れが収まらず、最悪の場合制御不能に陥って転倒するリスクもある。この危険を回避するため、ステアリングダンパーはハンドルの急激な動きを抑える。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro 主流のロッドタイプ(円筒状)は、サスペンションのダンパーと同様の仕組み。シリンダー内部のダンパーオイルをピストンが通過する際の抵抗を利用して、前輪の左右の動きを減衰する。
では、なぜ大半のバイクには非装備なのか? バイクにはキャスター角やトレール量などの設定(アライメント)により、車体を傾けると自然にハンドルが切れる「セルフステア」機能が備わっている。現行車なら常用速度域では大きなギャップでもない限り、ステアリングダンパーは必須ではない。しかし、サーキット走行やレース向けのスーパースポーツは、安定性よりも応答性を優先したアライメントのため、路面のギャップでハンドルが振れやすく、ステアリングダンパーが標準装備される。海外では速度無制限の道路や荒れた路面に対応するため、高速ツアラーや大排気量スポーツネイキッドにも装着例が多い。
ただし、ステアリングダンパーにはデメリットもある。ハンドルの動きを抑える装置であるため、低速で大きくハンドルを切る街中の曲がり角やヘアピンカーブでは、操作が重くなり「曲がり切れない」と焦ることも。そこで登場したのが電子制御式だ。
ホンダは2004年発売の「CBR1000RR」に、世界初の電子制御式ステアリングダンパー「HESD(ホンダ・エレクトロニック・ステアリング・ダンパー)」を搭載。速度と加速度センサーの信号をECUで解析し、油圧経路を制御。低速では軽快なハンドリングを、高速では路面からの外乱を抑える。2007年には「CBR600RR」用にコンパクト化。現行「CBR1000RR-R」ではSHOWA社製のロッド式電子制御タイプに進化し、減衰レベルを3段階選択可能で、IMU(慣性計測装置)の情報も加味して最適制御する。カワサキも「Ninja H2」(2016年)などにオーリンズ社製電子制御式を採用している。
電子制御式なら低速の軽快性と高速の安全性という矛盾を解決できるが、後付けは困難。カスタムで機械式を装着するなら、有名メーカーの減衰力調整可能タイプがオススメ。普段はアジャストを最弱にしておけば街乗りやツーリングでも軽快に操れ、サーキット走行時には適度にダンピングを強めて安定したハンドリングを得られる。
ステアリングダンパーは、普段乗りなら基本的に不要だが、ハイスピードなスポーツ走行では安心感が違う。装着の際はハンドル切れ角や車体への干渉に注意し、経験豊富なショップに依頼しよう。
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