カンナム「スパイダーF3-S」がヤバい!低速は重いけど高速で豹変する3輪の新感覚
バイクでもクルマでもない、まったく新しい乗り物がここにある。カナダのBRPが展開する「カンナム」ブランドの3輪バイク「スパイダーF3-S」(2026年モデル)は、フロント2輪、リア1輪という異色のレイアウトを持つ。跨って乗るスタイルはバイクそのものだが、走り出せばその常識が覆される。
まず驚くのが、コーナリングだ。バイクのように車体を傾けて曲がるのではなく、ハンドルを切って曲がる。頭では理解していても、実際に走り出すとその感覚に戸惑う。低速ではハンドルがとにかく重く、細かい道やスラロームでは腕が大忙し。「これは腕にくるな」と正直かなり疲れる。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro ところが、ある程度スピードが乗ると印象がガラリと変わる。低速時の重さが嘘のように、車体がスッと転がっていく。高速道路や広い道では、このキャラクターが活きる。コーナーでは車体を傾けない代わりに、自分の身体をしっかり支えながらハンドルを操作するため、きつめのコーナーでは結構踏ん張る。「バイクとは違う筋肉を使っているな」と実感する瞬間だ。
一方で、3輪ならではの安定感は秀逸。コーナーを抜けても車体が急に戻ってくる怖さはなく、スッと自然に復元する。この安心感は2輪にはない魅力だ。
パワーソースはRotax製の排気量1330ccの3気筒エンジン。最高出力は約115hp、最大トルクは約130Nmを発生する。車重は約314kg、全長2642mm×全幅1500mmと存在感は十分。停止からの立ち上がりは少しもたつくが、速度が乗ればグッと力が出て車体を前へ押し出す。パワー感と安定感の組み合わせがクセになる。
操作系も独特だ。クラッチレスのセミオートマチックで、ギアはボタン操作でシフトアップ/ダウンを行う。ただし、一定の速度に達しないと上のギアに入らない仕組み。目安は20km/hで2速、30km/hで3速、40km/hで4速。ニュートラルより下にはリバースも装備。車体が大きいので駐車時にバックできるのはありがたい。
ブレーキはバイクのようなレバーではなく、足元のペダルで操作する。バイクに慣れた人ほど最初は戸惑うポイント。また、始動時には安全に関する注意事項を確認する工程があり、安全への配慮が感じられる。
さらに驚きなのがスポーツモード。トラクションコントロールの介入を遅らせることで、リアタイヤを滑らせるような走りに対応。説明では「その場でグルグル回したりもできますよ」と言われたが、パワーがあるだけに、しっかりとした技術が必要だと感じた。3輪だから安全という言葉だけでは片付けられない、スポーツマシンとしての一面だ。
試乗を終えて一番印象に残ったのは、「3輪だから簡単」というわけではないということ。むしろ、2輪とはまったく違う操作感だからこそ最初は戸惑う。低速ではハンドルが重く、コーナーでは車体を傾けずにハンドルを切る。でも速度が乗れば軽やかに走り、3輪ならではの安定感とエンジンの力強さを活かしたスポーティな走りまで楽しめる。
「3輪ってどんな感じなんだろう?」そんな軽い気持ちで乗ってみたら、思っていた以上に奥が深かった。試乗後には「腕が疲れた!」という感想と同時に、「もうちょっと乗っていたかったな」という気持ちが残った。乗る前に抱いていた「3輪だから安定していて乗りやすそう」というイメージは、いい意味で裏切られた。実際に乗ってみないと分からない面白さが、この「スパイダーF3-S」にはある。
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