自動運転の現在地と未来:日米欧中トップが語った「レスポンスカンファレンス2026」
6月30日、都内で開催された「レスポンスカンファレンス2026」。自動運転技術の最前線を知るべく、日米欧中のトッププレーヤーが一堂に会した。本稿では、講演内容を凝縮してお届けする。
開会に先立ち、レスポンス編集長の三浦和也氏は「2016年は自動車業界が一気に未来へと舵を切った年。あの年に描かれた未来像が10年を経て、社会実装の段階に到達しつつある」と述べた。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 基調講演では、国土交通省 大臣官房 技術総括審議官の久保田秀暢氏が登壇。「2ヶ月前に作った資料がもう古くなった」と自動運転分野の進歩の速さを実感させる。日本は国連で自動運転レベル4の基準づくりを主導。AIベースの開発により、かつて1台1億円以上かかった自動運転車両が「レベル2++」なら数十万円で済むとし、政府は2030年までに自動運転車両1万台の普及を目指す。
タクシー事業者ニューモの代表取締役CEO青柳直樹氏は、全国1400台以上のタクシー車両を保有する立場から、自動運転への貢献を語る。同社はAI運転モデルを自社開発・評価。「2030年1万台の目標は、バスやトラックではなくタクシー車両が大部分を占めるだろう」と予測。プロのドライバーによるデータ収集体制を来年以降に開始し、雪国も含めた自動運転タクシーの拡大を目指す。
自動車ジャーナリスト清水和夫氏と住商アビーム自動車総合研究所の鈴沖陽子氏は、米国テスラの現状を報告。テスラはカメラのみのE2E技術でレベル2からレベル4ロボタクシーへ引き上げる方針。鈴沖氏はテキサス州オースティンで実際にテスラとウェイモのロボタクシーを体験。ウェイモは完全無人で6州11都市で商業化済み、テスラは2026年にテキサス州3都市で運行開始。料金はウェイモが8マイル34.99ドルに対し、テスラは7.95マイル14.13ドルと格安。ただし、トラブルでスタッフが手動運転する場面もあった。
トヨタのデジタルソフト開発センター チーフプロジェクトリーダー鯉渕健氏は、交通事故ゼロへ向けた「三位一体」の安全技術を紹介。トヨタ・セーフティ・センス(TSS)の効果で交通事故死者数は減少したが、近年は横ばい。AIの学習環境を自動化し、データ収集からシミュレーション、実車試験、提供までのループを高速化することが重要だと語った。
日産のソフトウエアデファインドビークル開発本部 吉澤隆氏は、2027年度に「次世代プロパイロット」搭載車両を発売すると発表。AIを自動運転、コックピットエージェント、開発プロセスの3領域で活用する「AIディファインド・ヴィークル(AIDV)」を掲げる。中国勢の開発スピードに対抗するには、安定したドライバビリティや心地よい加速など、日本メーカーが伝統的に大切にしてきた技術が勝ち筋だと強調した。
いすゞの開発部門シニア・ヴァイス・プレジデント佐藤浩至氏は、商用車のドライバー不足と積載効率低下を課題に挙げる。ドライバー職の有効求人倍率は2.61倍、大型免許保有者は15年で50万人減少。積載効率は48%から41%に低下。いすゞはレベル4自動運転の開発を進め、2027年度の事業化を目指す。一般道をカバーするテストコースを建設中で、自動運転のインキュベーションハブとして活用する考え。
ヒア・テクノロジーズのシャム・シャンカール・ラマン氏は、同社の地図搭載車両が世界で2億3800万台、ADASマップ搭載車両は6300万台以上に達し、中国の自動車輸出業者トップ10社すべてが採用していると報告。エージェントAIがルート選択やUXを最適化し、ロケーションインテリジェンスが自動運転やADAS、SDVに不可欠だと述べた。また、アジア太平洋地域の二輪ライダー調査では、82%がナビゲーション問題を経験し、50%が収入損失に繋がっていると回答。二輪車向けの安全機能への期待も高まっている。
中国モメンタ社のグローバル・チーフ・ソリューション・アーキテクト チン・ラオ博士は、同社が上海汽車やBYD、GM、メルセデス、トヨタ、ヒョンデなどをパートナーに持ち、累計100万台以上に搭載された実績を紹介。レベル4には1000億km以上の走行データが必要で、量産ADASとロボタクシーを両立する「二本足」戦略を採用。ワールドモデルを使ったシミュレーションと強化学習で、自動運転が人間を超える日が来ると予想する。
独モイア社のビジネス・ディベロップメント・ディレクター レイナー・ベッカー氏は、ハンブルクで1200万回以上の乗合型シャトル実績を基に、自動運転オンデマンドシャトル事業を紹介。フォルクスワーゲン「ID.Buzz」をベースに、13のカメラ、9つのLiDAR、5つのレーダーを搭載。ドライバー不在のためSOSボタンやサポートボタンを設置。安全性と信頼性、スケーラビリティ、信頼とコンプライアンスの3点が社会実装の鍵だと語った。
会場では、HEREテクノロジーとAstemo Cypremosがブースを出展。来場者との活発な情報交換が行われた。レスポンスを運営するイード オートモーティブ事業部の部長 山本ちひろ氏は、来年の開催やウェブメディア以外のイベント展開も予定していると明かした。
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