幻のVW『e-up!』、日本上陸目前で消えた理由とは? カタログだけが残したEVの記憶
フォルクスワーゲンの最小シリーズ『up!』。日本には2012年9月にガソリン車が上陸したが、その追加モデルとして2014年に設定がアナウンスされたのが、EVの『e-up!』だ。しかし、立派なカタログまで用意されながら、実際の市販には至らなかった。いわば幻のモデルである。
実車はガソリン車の4ドアボディをベースに、60kW(82ps)/210Nm(21.4kgm)を発生する電気モーターを搭載。カタログには「停止状態からアクセルペダルを一踏みするだけで、4.9秒で60km/hに達し、12.4秒で100km/hまで加速が可能で、クラスを超えた気持ち良い加速を実現」と記され、最高速は130km/hとされた。
寝苦しい夜が、これひとつで快適にAirio Pro 床下に搭載されるバッテリーは総重量230kg。12セル×17モジュールで構成され、374ボルトの電圧、18.7kWhのエネルギー量を供給する。一充電走行距離はJC08モードで185km。これはドイツの調査に基づくもので、通勤など全ドライバーの約80%が1日50km以内しか走らないというデータを根拠にしていた。車両重量は1160kgで、ガソリンモデル(high up!)より240kg重い。
充電まわりも考慮されており、ボンネット内に普通充電ポートを備えるほか、日本仕様ではガソリン車の給油口と同じ位置にCHAdeMO急速充電口を設置。30分で80%まで充電可能としていた。
メーターパネルはガソリン車に準じたアナログ式だが、スピードメーターはフルスケール160km/hに抑えられ、左側のタコメーターはパワーインジケーター、右側の燃料計はバッテリー残量計に変更。シフトレバーはD位置から左右に操作することで減速と回生を調節でき、手前のBポジションでは最大40kW(100km/h時)の回生ブレーキが効く仕組みだった。
さらに、シートヒーターやドライビングプロファイル(3モード)も用意。短時間の試乗では、ガソリン車より車重が増した分、スムーズで重厚な乗り味が印象的だったという。それだけに、カタログだけが残り、日本での販売が実現しなかったのは惜しい。もし発売されていれば、コンパクトEVの先駆けとして注目されたかもしれない。
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