物流2024年問題の切り札? トラック運送業界に初の「最低運賃」導入へ、国交省が制度設計開始
物流の2024年問題が叫ばれる中、ついにトラック運送業界に“最低運賃”が誕生する。国土交通省は2026年7月17日、2025年の法改正で導入が決まった「適正原価」制度の設計に向けた初めての有識者検討会を開催した。
この制度、現行の「標準的な運賃」とは一線を画す。なんと、運賃の下限として法的拘束力を持ち、計算式で原価を導き出すという仕組みだ。つまり、国が定めた適正原価を継続して下回る事業者は、事業許可の更新が認められず、業界から退出することになる。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー 現行の標準的運賃は「原価に適正な利潤を上乗せした額」とされているが、実際には大半の運送会社がこれを下回る運賃で仕事をしており、実態と乖離しているとの指摘もあった。新制度の適正原価は利潤を含まず、あくまでコストベースで算出される点が大きな違いだ。
具体的な算定方法は、走行距離や稼働時間などを計算式に入力して原価を導き出す方式を採用。一度の取引で下回っただけでは違法とはならず、1年間など一定期間継続して下回った場合に、事業許可の更新ができないという方向性で議論が進んでいる。
適正原価の構成要素は、人件費などの固定費や燃料代などの変動費からなる運賃原価に加え、委託手数料、料金原価(荷扱い料や高速代など)、燃料サーチャージ、実費などを合計したもの。受託時と委託時で義務の対象が異なるため、算定式も区分して示される見込みだ。
今後の検討課題は山積みだ。業種や地域、車種・車格ごとの原価設定の単位、実車率の想定、物流効率化で稼働率が下がった場合のインセンティブ担保、物価変動への対応、そして何より、この制度がどうドライバーの賃上げに繋がるのか。
また、計算式が公開されることで、トラック運送のコスト構造が荷主にも“見える化”される。これは価格交渉の材料として活用できる半面、実際の運賃が適正原価に張り付いてしまう「運賃の硬直性」という新たなリスクも懸念される。
検討会は月1回程度のペースで議論を重ね、年内を目途に提言案を取りまとめる予定。多重下請け構造の是正やドライバーの待遇改善に、この新制度が真の切り札となるのか、今後の動向から目が離せない。
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