ホンダ スーパーワン試乗記「速すぎないから楽しい」軽BEVベースの小型ホットハッチがBEV普及の転換点に
ホンダが送り出す新型BEV「スーパーワン」が、ついに公道でその実力を披露した。軽自動車の「N-ONE e:」をベースに、トレッドを40mm拡大し、1983年発売の「シティ ターボII(ブルドッグ)」を彷彿とさせるオーバーフェンダーで武装。普通車枠に昇格したFWDの小型ホットハッチだ。価格は339万200円で、モノグレード展開。
まず驚くのは、その走行モードの豊富さだ。エコ走行用の「イーコン」、ワンペダル操作が可能な「シティー」、バランス重視の「ノーマル」、応答性を高め走行音と有段変速が楽しめる「スポーツ」に加え、「ブースト」というスペシャルモードを搭載。ステアリングの3時位置にあるパープルカラーのスイッチを押すと、最高出力が通常の64PS(47kW)から95PS(70kW)に跳ね上がる。最大トルクは162N・m(16.5kgf・m)で、車重1090kgという軽さも相まって、軽快な走りを実現する。
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon スポーツモードに切り替えると、BOSEのスピーカーから流れる人工エンジンサウンドが、低く丸みのある6気筒級の高級感を醸し出す。さらにブーストモードでは、ブルーだった画面がパープル基調の3連メーターに変わり、野太い擬似サウンドが響き渡る。仮想7段シフトは、左パドルを長引きすることで手動変速にも対応。レブリミットに達すると、ヴヴヴヴッとカットオフのような演出が入り、思わず笑顔になる。
コーナリング性能も秀逸だ。速すぎないからこそ、手の内に収まる感覚が心地よい。前輪のトルクステアがステアリングに伝わり、陽気でひょうきんなスポーティブネスを感じさせる。サスペンションは専用チューンで、N-ONE RSより引き締まっているが、荒れた路面でも不快ではない。ボディーの高い剛性感と立派なバケットシートのおかげだ。
気になる航続距離は、WLTCモードで274km。試乗では、河口湖から埼玉・和光市まで約100kmの道のりを、途中の談合坂SAで充電しながら走破。イーコンモードを使えば、到着時には49%の残量をキープできた。充電インフラが整いつつある今、日常使いなら十分に実用的だ。
CEV補助金130万円を考慮すれば、実質的な負担はさらに軽減される。ただし、受注が殺到しており、納期は来年1月。補助金なしでの購入を覚悟したほうが良さそうだ。BEV普及の転換点になるかもしれない、この「速すぎないから楽しめる」一台。クルマ好きなら、一度は味わってみる価値がある。
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